中国企業のADRという多重リスクの恐怖(アリババ、バイドゥ…)

こんにちわ!ぷどりです。

今日の朝にgoogleをチラっとみていたら、衝撃的なニュースが飛び込んでいました。
www.nikkei.com

ニューヨーク証券取引所NYSE)は1日までに、中国の通信大手3社の上場廃止に向けた手続きを始めると発表した。トランプ米政権が2020年11月に米投資家による一部の中国株購入を制限する大統領令に署名したことを受けた措置だ。今後も対象が広がるとの見方も出ている。
3社は中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)。

これらの中国企業は、米国預託証券ADR)という制度を使ってニューヨーク証券取引所に上場しています。今回、この上場がホワイトハウスの意向で廃止されたということです。

ADR?中国の無名企業がアメリカに上場する制度?遠い世界の制度の話でしょ? 

と感じるかもしれませんが、そうでもありません。日本でも、ホンダや日立といった超有名企業が、中国でもアリババやバイドゥといった超有名企業が、ADRアメリカの市場に上場しています。
ここでは、ADRという制度がどういうものかを説明し、「中国企業ADRがなぜハイリスクか」を説明していきたいと思います。

ADRについて

ADRとは、アメリカ以外の企業が簡単にニューヨーク証券取引所等のアメリカの市場に上場するための制度です。アメリカの銀行がその企業の株式を買い、その株式を裏付けに銀行がADRを発行することで、ニューヨーク証券取引所等のアメリカの市場に上場することができるようになります。ADRは株式と同等の効果を有しますが、全く同一ではありません。そして、この違いにリスクが潜んでいます。
詳しいADR制度の説明は、以下が非常に分かり易かったです(さすが楽天証券!)
www.rakuten-sec.co.jp

リスクについて

ADRのリスク

端的に言うと上場廃止のリスクがあります。ここでいう上場廃止とは「企業自らがアメリカでの上場を取りやめるケース」を指すことが多いです。なぜ上場廃止をするかというと、地元の市場を盛り上げたいとか、ADRとしての上場コストが高いとか、様々な理由があるようです。上場廃止になると証券会社によっては売買できなくなる可能性があります。
www.mizuho-sc.com

取引における外国株預託証券特有のリスクについて
・当該外国株預託証券上場廃止等の理由により、原株式に交換された場合でも、売買をお取り扱いできない場合があります。

つまり現地の株式をいきなり渡されて、しかも証券会社が取り扱ってくれず、売ることができなくなる可能性があるということです。しかも流動性が高いアメリカの株式市場から出ていくことで値段が下がる可能性もあります。

中国企業のリスク

さて、本題の中国企業ですが…皆さんご存じの通り中国とアメリカの関係は非常に複雑です。特に新型コロナウイルスにより過去最悪となりました。今回は、アメリカが特定の中国企業を「中国人民解放軍と関係が深い企業」という理屈で上場廃止を決定しました。つまり、中国と仲が悪いアメリカの政府が、強権を発動して中国企業上場廃止にする可能性があるということです。

中国企業ADRという多重リスク

整理すると、中国企業ADRには、企業自らがアメリカから撤退するリスクと、アメリカ政府の意向で撤退を余儀なくされる2つのリスクが存在します。このように考えると非常にハイリスクな金融商品だと思いませんか?

(閑話)私が中国のADRを買った時の話

実は私は、2018年の2月にNISA枠でアリババの株を買っていました。その後昨年2020年、アメリカによる中国企業に対する強硬な姿勢に恐れをなし、売却しました。
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その後、奇しくもアリババは私の予想に反し、アメリカからの締め出しではなく、中国の抑え込みにより暴落するというシュールな展開となっています。中国企業の評価は非常に難しいということを最近切に感じています。
www.nikkei.com

中国企業ADR保有する場合にやるべきこと

中国とアメリカの関係は一層不透明感を増しています。もし中国企業ADR保有している場合は、万が一上場廃止になった場合にどのような扱いになるか、証券会社に確認することをお勧めします。そこでしっかりと納得できる回答を得られるか得られないかを鑑みて、ご自身でご判断下さい。